ドイツコブルクでのコンサート現地新聞評 2004年12月06日 |
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ミハル・カニュカ(チェロ)とルミ・イトウ(ピアノ)による最高の演奏
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プラハのチェリストのミハル・カニュカがソリストとして、あるいは室内楽合奏団の一員としてコブルクの音楽友好協会の招きで演奏するのは今回で7度目である。だから、彼が今回音楽友好協会の名誉会員に推されたのはまったく当然のことである。そのセレモニーに先立ってこのたぐい希なチェリストは日本人ピアニストのルミ・イトウとの共演によって聴衆を感動させた。 小品からなる第1部と長いソナタの第2部によるプログラムは、最初の曲のベートーヴェンと同世代、ハイドンの後継者としてのエステルハーツィー公の楽長であったJ・N・フンメルの「変奏曲」は別 として概ねロマンチックな曲で統一されていた。 ミハル・カニュカは、この最初のフンメルの曲で直ちに彼の卓越した力のすべてをパレットの上に描いてみせた。優雅で、霊感のある音の調べ−広がりがあり、厚塗りの、それでいて軽快で陽気な−、高価なバロックの楽器によるよどみない弓使い、この上ないあたかも夢遊病者のごとき自由さ、同時に感情豊で、あるいはエネルギッシュな造形のための終始柔らかで音楽的な演奏。ルミ・イトウまた、その繊細なタッチ、大胆な運指、ピアノの蓋を全開させながら決して押し付けがましくない演奏によって卓越したピアニストであることを証明した。 2曲目は、100年前にこの世を去ったミハル・カニュカの同郷人、A・ドヴォルザークへの敬意からのチャーミングなダンス風の「ロンド」g-Moll作品94。彼は歌うような調子と香りある弓使いで演奏した。次はG・フォーレの「エナジー」C-Moll作品24。彼はメロディックで輝くようなヴィルティオーゾとしての張りのある音調によってこの曲を演奏した。次いでD・ホッパーの逸品「つむぎ歌」。第2部の大曲の前に、息をつかせない長いつながりの音形をもって細いパッケージをラストまで駆け抜けた。 休憩のあとの1曲だけの第2部は難局のS・ラフマニノフのチェロ・ソナタG-Moll作品19だった。この曲はほとんどチェロとピアノの協奏曲ともいうべき曲でピアニストに高度な演奏が求められる。ルミ・イトウはその難しいピアノパートを豊かな音楽性と並外れたテクニックによって完璧に意のままにした。眼がくらむほどの調子が合った2人の演奏が、繊細な叙情性から荒々しい不気味さにいたるこの作品のすべての表現を印象深いものにした。 興奮した聴衆の拍手のあとのアンコール曲はショパンの夢見るような「ラルゴ」だった。ミハル・カニュカの名誉会員への推挙のためのセレモニーのあと、憂愁に満ちたパブロ・カザルスの「鳥の歌」がプレゼントされた。 2004年12月6日 Coburger Tageblatt誌 コブルグ日刊誌 土田剛訳 |
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